トランプ関税でビットコインマイニング収益悪化 赤字企業続出
BTCマイニング業界に深刻な打撃か トランプ米大統領による世界的な関税政策が、ビットコイン（BTC）マイニング業界にも深刻な影響を及ぼしている。
関税発表を受けて市場は広範な売りに転じ、マイニング収益性を示すハッシュプライスが40ドル/PH/sを割り込んだ。10日公開のBlocksBridge Consultingのレポートによれば、これは2024年9月以来の低水準であり、大規模マイナーにとっても厳しい展開となっている。 トランプ政権は今週10日に関税政策の90日間一時停止を発表。市場は一定の反発を見せたが、ハッシュプライスは42ドル/PH/s前後にとどまり、回復には至っていない。TheMi…
※本記事は作成時点の法令・情報に基づいています。最新情報は国税庁Webサイト等でご確認ください。一般的な情報提供を目的としており、個別具体的な税務判断については税理士等の専門家にご相談ください。
■ 逆風の正体：マイニング業界を襲う「三重苦」
ビットコインの価格が上昇すれば、採掘されるビットコインの価値も上がるため、マイニング企業の収益は増加するように思えます。しかし、現実はそれほど単純ではありません。特に2024年以降、以下の3つの要因が企業の収益性を大きく圧迫しています。
- 要因1：2024年の「半減期」
約4年に一度訪れる半減期は、ブロック生成の報酬としてマイナーに支払われる新規ビットコインの量を半分にするイベントです。2024年4月に実行された4回目の半減期により、報酬は1ブロックあたり6.25 BTCから3.125 BTCに減少しました。これは、マイニング企業の売上が、理論上は一夜にして半減したことを意味します。 - 要因2：高止まりするエネルギーコスト
ビットコインマイニングは、膨大な計算を行うために大量の電力を消費します。世界的なエネルギー価格の上昇は、マイニング事業の運営コスト、特に電気料金を直撃しています。収益が半減する一方で、最大のコストである電気代が高止まりしているため、利益率が極度に圧迫されているのです。 - 要因3：史上最高レベルの競争激化（ハッシュレート上昇）
ビットコイン価格の上昇期待から、大手企業は最新の高性能マイニングマシンへ巨額の投資を行ってきました。その結果、ネットワーク全体の計算能力を示す「ハッシュレート」は過去最高水準で推移しています。これは競争が激化していることを意味し、個々のマイナーがブロックを発見し、報酬を得る確率が相対的に低下している状況を生み出しています。
■ 赤字決算が相次ぐ大手マイニング企業
この厳しい環境は、上場している大手マイニング企業の決算にも色濃く反映されています。半減期後の四半期決算では、売上高の伸び悩みや、純損失の拡大を報告する企業が続出しました。
| 企業名 | 直面する課題 | 対策・戦略 |
|---|---|---|
| Marathon Digital Holdings | 半減期による報酬減と高い電力コスト。ハッシュレート競争の激化。 | M&Aによる規模拡大、自社発電施設の活用、エネルギー効率の高い最新マシンへの投資。 |
| Riot Platforms | テキサス州の電力網への依存度が高く、夏の電力価格高騰リスクを抱える。 | 電力網の安定化に協力することでクレジットを得るユニークな戦略。施設の拡張と効率化。 |
| CleanSpark | 急速な事業拡大に伴う設備投資コストの増加。 | 低コストな原子力を活用。業界トップクラスの電力効率を誇るマシンへの積極投資。 |
| Core Scientific | 過去の経営破綻から再建途上。負債の圧縮と収益性の改善が急務。 | AIクラウドサービスなど事業の多角化を模索。老朽化したインフラの更新。 |
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公式サイトで詳しく見る■ 生き残りをかけたサバイバル戦略
こうした状況下で、マイニング企業は単にビットコインを掘り続けるだけでは生き残れません。各社は生き残りをかけて、以下のような多角的な戦略を模索しています。
- エネルギー効率の追求: 消費電力あたりの計算能力が高い、最新世代のマイニングマシンへの入れ替えは必須の戦略です。また、安価な電力を求めて中東や南米へ進出したり、再生可能エネルギーを活用したりする動きも加速しています。
- 事業の多角化: マイニングで培った大規模データセンターの運営ノウハウやインフラを活用し、AI（人工知能）の学習やHPC（ハイパフォーマンス・コンピューティング）といった、より収益性の高い分野へサービスを提供する動きが活発化しています。これは、電力とコンピューティングリソースという資産を、ビットコイン価格の変動から切り離して収益化する試みです。
- 業界再編とM&A: 資本力のある企業が、経営難に陥った同業他社を買収する動きも出てきています。規模の経済を働かせることで、コスト競争力を高める狙いです。今後、業界の淘汰と再編はさらに進むと見られています。
■ よくある質問 (Q&A)
ビットコインマイニング業界は、価格上昇の恩恵を受けつつも、半減期・電力コスト・競争激化という「三重苦」により、多くの企業が収益悪化に苦しんでいます。今後は、いかにコストを削減し、AI開発などの新しい分野へ事業を多角化できるかが、企業の生き残りを左右する重要な鍵となるでしょう。マイニング企業の株式などに投資する際は、こうしたサバイバル戦略の巧拙を見極める必要があります。
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