最大のインパクトは、市場の「体質改善」だね。かつては個人の投機が中心で価格変動（ボラティリティ）が非常に激しかった。しかし今は、現物ETFなどを通じて長期保有を前提とする機関投資家が市場のメインプレイヤーになりつつある。これにより、今回のように地政学リスクが起きても価格が下落局面で買い支えられ、パニック的な暴落が起きにくくなった。

Fidelity Digital Assetsのレポートでも、この傾向は「市場の成熟」の証と分析されている。ビットコインはもはや単なる投機対象ではなく、伝統的な金融の世界と接続されたことで、世界経済の一部として無視できない存在へと変化しているんだ。

もちろん、良いことばかりではない。最大のリスクは、ゼビオくんが心配してくれた通り、機関投資家の大量売却だ。彼らは利益確定や、世界経済の急変によるリスク回避（リスクオフ）のために、ある日突然、巨額のビットコインを市場で売り始める可能性がある。

例えば、世界的な金融引き締めが加速したり、ビットコインに対する想定外の厳しい規制が特定の国で導入されたりした場合が引き金になりうる。彼らの資金が大きい分、そのインパクトは個人投資家とは比較にならないほど市場を揺るがす力を持っているんだ。

• 強気シナリオ（デジタル・ゴールド化）: 今回のように、地政学リスクが高まるたびに機関投資家の買いが入り、「デジタル・ゴールド」としての信頼性が向上。年金基金など、さらに大規模な資金が流入し、価格が安定的に上昇していく。
• 中立シナリオ（伝統金融との相関）: 機関投資家の影響力が強まることで、ビットコインが株式（特にハイテク株）など、他のリスク資産とほぼ同じような値動きをするようになる。独自の価値は維持しつつも、サプライズは少なくなる。
• 弱気シナリオ（クジラの大量売却）: 世界的な景気後退や厳しい規制強化をきっかけに、機関投資家（通称：クジラ）が利益確定やリスク回避のために一斉に売却を開始。ETFから大量の資金が流出し、市場に大きな価格調整を引き起こす。