金融庁は9月25日、ブロックチェーンを使った決済や資産移転を幅広く検討する「AI時代を見据えたオンチェーン金融フォーラム」を立ち上げると発表しました。

検討対象には、ステーブルコイン、分散型取引所(DEX)、分散型金融(DeFi)、ウォレット提供業者、国債などのトークン化が含まれます。ただし、現時点では制度やサービスの導入が決まったわけではありません。まずは官民で課題と道筋を整理する段階です。

この記事の要点

  • 金融庁は、オンチェーン金融の社会実装を検討する新しいフォーラムを立ち上げます。
  • ステーブルコイン、DEX・DeFi、ウォレット、国債などのトークン化、日銀当座預金との接続が論点です。
  • 直ちに新サービスが始まる発表ではなく、2027年初の中間整理など今後の具体化を確認する必要があります。

何が発表された?

金融庁の9月25日の発表によると、新フォーラムは関係省庁などが横断的に検討を進める場です。金融庁は、AIやブロックチェーンの進展に合わせ、オンチェーン金融の社会実装と金融機関におけるAIの健全な利用を進める必要があると説明しています。

「オンチェーン金融」とは、決済や資産移転などの処理・記録をブロックチェーン上で行う仕組みです。これに対し、現在の銀行システムなど既存の金融基盤は「オフチェーン金融」と呼ばれます。金融庁は、どちらか一方へ全面的に置き換えるのではなく、両者を組み合わせる考えを示しています。

金融庁の概要資料では、24時間365日の稼働、商流・物流と決済をつなぐ仕組み、決済基盤としての安全性・安定性を重視しています。

どこまで決まり、何が未定?

項目 今回確認できた段階
官民ロードマップ 作成する方針。具体的な内容や期限は今後整理
ステーブルコイン 制度上の論点や国内外の利用拡大を検討
DEX・DeFi・ウォレット 技術の性質に応じたリスク低減策や規制のあり方を検討
国債などのトークン化 財務省などが対応やオンチェーン決済の可能性を検討
日銀当座預金 日本銀行が年内に論点整理と検討状況を取りまとめる方針
新サービスの提供 今回の発表だけでは開始時期や利用条件は決まっていない

金融庁の「成長投資を促進するための金融戦略」関連部分を基にZEIbit JOURNALが整理。

なぜ今、オンチェーン金融を検討するの?

金融庁は、AIが自律的に商品やサービスを選ぶ「エージェンティックコマース」が広がると、国や時差をまたぐ取引に対応できる決済基盤が必要になるとみています。物流・商流・決済のデータをつなげれば、企業の事務負担を減らせる可能性もあります。

一方で、ブロックチェーンを使えば自動的に安全になるわけではありません。資料では、ステーブルコインの裏付け資産、DEX・DeFiやウォレット提供業者のリスク低減、金融機関のAI利用、量子コンピュータによる暗号技術への影響も検討対象です。

「日銀当座預金のオンチェーン対応」も挙げられていますが、これは金融機関が日本銀行に持つ当座預金の話です。個人の銀行預金をすぐにブロックチェーンへ移すという発表ではありません。

日本の利用者にどんな関係がある?

短期的には、暗号資産やステーブルコインの売買方法、税金、利用できるサービスが直ちに変わるわけではありません。今回の発表は、制度改正やサービス開始ではなく、検討の枠組みを設けたものです。

中長期では、円建てステーブルコインの海外利用、貿易を含む送金・決済、公金給付、国債などのトークン化につながる可能性があります。また、DeFiやウォレット提供業者についてルールが具体化すれば、利用者保護や事業者の責任範囲が分かりやすくなることも考えられます。

ただし、検討項目に入ったことと実現は別です。法令改正やパブリックコメント、実証実験の結果が示されるまでは、利用開始や投資判断を急がないことが大切です。

今後、何を確認すればよい?

金融庁の関連資料では、フォーラムで官民ロードマップを作り、2027年初に中間整理をまとめる方針が示されています。日本銀行は、日銀当座預金のオンチェーン対応について、2026年内に論点整理と検討状況を取りまとめる予定です。

今後は、フォーラムの参加者と会合日程、ロードマップの具体策、実証実験の対象、法令改正や意見募集の有無を確認する必要があります。発表時点では、これらの詳細は示されていません。

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出典:金融庁「AI時代を見据えたオンチェーン金融フォーラム」について、オンチェーン金融イニシアティブ概要、「成長投資を促進するための金融戦略」関連部分抜粋(2026年9月27日確認)。