【初心者向け】ビットコインの割高・割安を測る MVRV Z-Score完全ガイド

作者: ZEIbit.AI 2025.06.03
3 日前
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「今のビットコインは高すぎ?それともお得?」——そんな疑問にヒントをくれるオンチェーン指標がMVRV Z-Scoreです。本記事では、図も交えて仕組みと活用法をやさしく解説します。

📊 1. MVRV Z-Scoreとは?

MVRV Z-Score の仕組み
図 1 MVRV Z-Score 全体像(仕組みと判定ゾーン)

図 1を見ると、MVRV Z-Score の計算は「①市場価値(Market Cap)」から「②実現価値(Realized Cap)」を引いた差を求め、これを③市場価値の標準偏差で正規化して評価していることがわかります。「Neutral(中立)」レンジから針が右へ振れ (+7 付近) ば過熱気味、左へ振れ (-1 付近) ば割安気味を示唆します。

  • MVRV比率 = 市場価値 ÷ 実現価値
  • MVRV Z-Score = (市場価値 − 実現価値) ÷ 標準偏差(市場価値)

Market Value(市場価値)

「時価総額」のようなもので、現在のビットコイン価格 × 流通している全コイン数で計算される値です。
要するに「今の市場価格で評価した全体の価値」を示します。

Realized Value(実現価値)

一方でこちらは「Realized Cap(実現時価総額)」とも呼ばれ、各ビットコインが最後に動いた(移動された)ときの価格を使って計算される累積時価総額です。
たとえば、あるコインが過去に 30 万円で最後に移動されていたら、そのコインは「30 万円として価値が刻まれている」わけです。
すべてのコインについてそれを合算すると、市場参加者全体の平均取得コストに近い指標となります。

🔍 2. なぜ投資家が注目するのか

2-1. 平均取得コストを“見える化”

実現価値は「最後にコインが動いた価格」で再評価しているため、ネットワーク全体の平均買値を概算できます。Z-Score>1 という数値は「保有者の多くが含み益」という背景を示し、利確売りが増える転換点になりがちです。

2-2. 過去サイクルの天井・底を比較できる

2013・2017・2021年のブル相場では +7~+9 付近で天井を示唆、2015・2019・2022年の底では -1 前後が買い戻しタイミングの目安になりました(詳細は図 3で解説)。

2-3. オンチェーンならではの“実需”反映

テクニカル指標と違い、実際の資金移動に基づくため短期ノイズに左右されにくい点もメリットです。

🧮 3. 計算のしくみをやさしく図解

MVRV Z-Score の計算フロー
図 2 MVRV Z-Score 計算フロー

図 2のフローチャートを追うと、

  1. まずMarket Value(時価総額)を算出
  2. 次にRealized Value(平均取得コスト合計)を算出
  3. 二者の比率=MVRV Ratio を得る
  4. 最後に歴史平均からの乖離をZ-Scoreとして標準化
指標意味ざっくり解釈
MVRV Ratio >1市場価値 > 実現価値含み益が多い
MVRV Ratio <1市場価値 < 実現価値含み損が多い
Z-Score >7歴史的に大幅割高過熱ゾーン
Z-Score <-1歴史的に大幅割安売られすぎ

※ 実際の値はGlassnode・CryptoQuantなどのオンチェーン分析サイトが提供しています。

📈 4. ヒストリカルデータで見る活用例

Bitcoin MVRV Z-Score と BTC 価格の推移(CoinGlass, 2010-2024)
図 3 Bitcoin MVRV Z-Score(緑)と BTC 価格(黄)の長期推移

CoinGlass の実測チャート(図 3)を見ると、MVRV Z-Score がサイクル天井・底を示唆してきた流れが一目でわかります。

4-1. ピークは +6〜+10 で出現

  • 2011・2013・2017 年:Z-Score が+8〜+10まで急騰。いずれも直後に大幅な調整が発生。
  • 2021 年春:ピークは+6程度と過去より抑えめでしたが、価格は 6 万ドル台から半値以下へ急落。
  • 2024 年初頭:一時 +6 近くまで上昇するも、過去に比べややマイルドな値動き。

4-2. 底打ちは -1 付近で反転

  • 2015 年 1 月2019 年 12 月2022 年 11 月 ——いずれも Z-Score が-1 〜 -0.5へ沈み、数か月内に上昇トレンドへ転換。
  • 負の領域(青帯)は“売られすぎゾーン”として機能するケースが多いことが確認できます。

4-3. 現状(2025 年 6 月時点)の読み取り方

最新値は+2〜+3程度で推移し、極端な過熱でも割安でもない“中立域”。ここから再度 +6 を目指すのか、それとも調整に入るのか——マクロ環境やオンチェーンの資金移動を合わせて注視する段階と言えるでしょう。

⚠️ 5. 利用時の注意点

  • 単独で鵜呑みにしない—RSI・出来高・マクロ経済ニュースも合わせて確認。
  • データ更新にラグ—オンチェーン集計は数時間~1日遅れる場合あり。
  • 短期トレードには不向き—週足〜月足での大局観をつかむ指標。
どこで最新データを見られる?

Glassnode、CryptoQuant、LookIntoBitcoin などの分析サイトで無料チャートが公開されています。

アルトコインにも使える?

大型アルトでは算出可能ですが、過去データが浅い銘柄は統計の信頼度が下がります。

📝 6. まとめ

MVRV Z-Scoreは「市場価格と平均取得コストの乖離」を標準化し、過熱ゾーン(+7)・割安ゾーン(-1)を視覚的に教えてくれるオンチェーン指標です。長期投資家が売買タイミングを考えるうえで強力なツールですが、万能ではないため必ず他の指標・ニュースと合わせて総合判断しましょう。

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本記事は一般的な情報提供を目的としています。投資判断・税務申告はご自身の責任で行い、必要に応じて専門家へご相談ください。

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