【図解】JPYCとは？初心者でもわかる日本円ステーブルコインの買い方・使い方・税金を徹底解説

JPYCとは？1円＝1JPYCの価値を持つ日本円ステーブルコイン

JPYCは、JPYC株式会社によって発行される、日本円と1対1で価値が連動するステーブルコインです。 難しい言葉に聞こえるかもしれませんが、要は「ブロックチェーン上で使える、価格が安定したデジタルな日本円」と考えると分かりやすいでしょう。 ビットコインやイーサリアムが日々価格を大きく変動させる「投資対象」としての側面が強いのに対し、JPYCは価値が変わらない「決済手段」としての役割を担うために生まれました。

なぜJPYCが必要なの？

JPYCが解決しようとしている課題は大きく二つあります。

• 暗号資産の価格変動リスク：暗号資産で得た利益を確定させたい時、一度法定通貨に戻すのは手間がかかります。JPYCに交換すれば、価値の変動を気にすることなく、資産を安全にブロックチェーン上に保持できます。
• 従来の金融システムの非効率性：海外への送金は、手数料が高く、着金までに何日もかかるのが当たり前でした。 JPYCを使えば、24時間365日、ほぼリアルタイムかつ格安の手数料で、世界中の誰にでもお金を送ることが可能になります。

JPYCの進化の歴史：ただのポイントから「デジタルな現金」へ

黎明期：換金できなかった「JPYC Prepaid」

2021年に登場した当初のJPYCは、法律上「前払式支払手段」という扱いでした。 これはSuicaやAmazonギフト券と同じカテゴリーで、日本円への払い戻し（償還）が認められていませんでした。 この初期バージョンは、後に「JPYC Prepaid」と呼ばれるようになります。

転換点：2023年改正資金決済法がもたらした革命

大きな転機となったのが、2023年6月に施行された改正資金決済法です。 この法律で、ステーブルコインは「電子決済手段」という新しい法的カテゴリーとして定義され、銀行や登録を受けた資金移動業者だけが発行できる、明確なルールが整備されたのです。

新生JPYCの誕生：いつでも円に換金可能に！

この法整備を受け、JPYC株式会社は2025年8月18日に資金移動業者として正式に登録されました。 これにより、ついに日本円への償還が可能な、新しいJPYCの発行が実現したのです。これは、JPYCが単なるデジタルポイントから、銀行預金に近い安心感を持つ「真のデジタルな現金」へと進化した歴史的な瞬間でした。

どうやって価値を保ってるの？JPYCの仕組み

価値の裏付けは100%以上の「準備金」

JPYCが「1 JPYC = 1円」を維持できる秘密は、その価値の裏付けとなる準備資産にあります。JPYCは、発行された総額と同等以上の価値を持つ日本円の預貯金や日本国債によって、100%価値が保全されています。 これは日本の法律（資金決済法）で定められたルールでもあり、利用者がいつでも安心して日本円に償還できるための、信頼性の根幹となっています。

目的に合わせて選べる「マルチチェーン」対応

JPYCは、特定のブロックチェーンに縛られません。利用者の目的に応じて、複数のブロックチェーンから最適なものを選んで利用できます。

• Ethereum (イーサリアム): 最も歴史が長く、セキュリティが高い。高額な取引やDeFiでの利用に。
• Polygon (ポリゴン) / Avalanche (アバランチ): 取引が速く、手数料が非常に安い。日常的な少額決済やゲームなどに向いています。

JPYCの始め方：購入から使い方まで

JPYCを始めるのは、思ったよりも簡単です。3つのステップで誰でも始めることができます。

STEP 1：デジタルウォレットを用意する

まず、JPYCを保管するための「お財布」＝デジタルウォレットが必要です。最も一般的なのは、ブラウザの拡張機能やスマホアプリとして使える「MetaMask (メタマスク)」です。 作成時に表示される12個の「シードフレーズ」は、金庫の鍵と同じくらい重要なものなので、必ず紙に書き写し、誰にも見られない安全な場所に保管してください。

STEP 2：公式サイトでJPYCを購入する

ウォレットが準備できたら、JPYC公式サイト（JPYC Apps）から直接購入します。

1. 公式サイトにアクセスし、MetaMaskウォレットを接続します。
2. 購入したい金額や、受け取りたいブロックチェーンを選択します。
3. 法律に基づき、スマホで運転免許証などを撮影する本人確認（eKYC）を行います。
4. 表示された銀行口座に日本円を振り込むと、あなたのウォレットにJPYCが送付されます。

STEP 3：ウォレットで残高を確認する

購入したJPYCがウォレットに表示されない場合は、手動で「トークンをインポート」する必要があります。公式サイトで公開されている「トークンコントラクトアドレス」をコピー＆ペーストすれば、JPYCの残高が表示されるようになります。

JPYCで何ができる？個人から法人までの活用例

JPYCは、私たちの金融活動に様々な革新をもたらします。

個人の活用例：もっと安く、もっとグローバルに

• 手数料が格安の国際送金: 海外に住む家族への仕送りや、海外のオンラインショップでの支払いが、銀行経由より圧倒的に安く、速くなります。
• 安心のNFT購入: 価格変動を気にせず、日本円の感覚でデジタルアートやゲームアイテムを購入できます。
• Web3サービスへの入り口: 為替リスクなしで、DeFi（分散型金融）での資産運用など、世界中の最先端金融サービスに挑戦できます。

法人の活用例：コスト削減と業務効率化

• 企業間決済の高速化: 銀行の営業時間を気にせず、24時間リアルタイムで決済が完了。キャッシュフローが劇的に改善します。
• 新たな給与体系の実現: 将来的には「給与デジタル払い」にも対応可能で、日払いや週払いといった柔軟な働き方をサポートします。

他の決済手段と何が違うの？徹底比較

JPYCのユニークな立ち位置を理解するために、他の決済手段と比較してみましょう。

最大の違いは、JPYCがオープンなブロックチェーン上で動く「プログラム可能な通貨」である点です。 これにより、単なる決済だけでなく、条件付きの自動支払いや、新しい金融サービスを構築するための基盤となることができます。

【よくある質問】JPYCに関するQ&A