※本記事は作成時点の法令・情報に基づいています。最新情報は国税庁Webサイト等でご確認ください。一般的な情報提供を目的としており、個別具体的な税務判断については税理士等の専門家にご相談ください。
この記事のポイント
仮想通貨の相続を理解する上で最も重要な原則は、それが法的に「財産」として扱われるという事実です。日本の国税庁は、仮想通貨を明確に相続税の課税対象となる財産と位置づけています。 これは法的なグレーゾーンではなく、確定した取り扱いです。
この「財産」という定義が重要で、株式や不動産と同じように、売却して利益が出れば所得税がかかります。この仕組みが、後に解説する「相続税」と「所得税」の二重課税問題、そして「税率110%」のリスクの根源となっているのです。
出典: 国税庁 財産を相続したとき仮想通貨の移転には、主に3種類の税金が関わってきます。それぞれの役割を理解しておくことが、仮想通貨の相続と税金問題を乗り越える第一歩です。
それでは、実際に相続が発生した場合の手続きを2つのステップで見ていきましょう。ここを怠ると、後の税金計算で大きな不利益を被る可能性があります。
Step 1: 故人の仮想通貨資産の特定
銀行と違い、仮想通貨の保有状況を一元的に照会する仕組みはありません。 そのため、相続人は「デジタル探偵」のように手がかりを探す必要があります。故人のPCやスマホ内の取引所アプリ、取引所からのメールや郵便物、銀行の入出金履歴などが重要なヒントになります。
Step 2: 取引所への連絡と必要書類の請求
取引所が特定できたら、相続が発生したことを連絡します。 この際、将来の税金計算のために極めて重要になる以下の書類を必ず請求してください。
ただし、この「死亡日時点の残高証明書」の発行は、すべての取引所が対応しているわけではない点に注意が必要です。国内取引所であっても対応はまちまちで、特に海外取引所の場合は言語の壁やサポート体制の違いから、発行が極めて困難になるケースが少なくありません。もし残高証明書が取得できない場合は、死亡日当日の最終取引価格がわかる市場データなどを基に、代替資料を用いて評価額を算定する必要があります。
| 書類名 | 説明 | 注意点 |
|---|---|---|
| 相続届 | 取引所指定の様式。相続発生を通知するための書類。 | 各取引所から取り寄せます。 |
| 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本 | 被相続人の身分関係を証明する公的書類。 | 途切れることのない連続した一式が必要です。 |
| 相続人全員の印鑑証明書 | 相続人全員の意思を確認するための書類。 | 通常、発行後3ヶ月~6ヶ月以内のものが求められます。 |
| 遺産分割協議書または遺言書 | 誰がどの資産を相続するかを定めた書類。 | 相続人全員の署名・実印が必要です。 |
ここからが本題です。なぜ相続した仮想通貨が、時として資産価値を超える税負担を生むのでしょうか。その原因は、「相続税」と売却時の「所得税」のダブルパンチにあります。
最大の問題は、相続した仮想通貨を売却して利益を計算する際、その取得費(コスト)として、相続時の価格ではなく、故人が最初に購入したときの価格を引き継がなければならない点です。
例えば、故人が10万円で買ったビットコインが、相続時には5億円に値上がりしていたとします。あなたが相続税の支払いのためにこれを5億円で売却した場合、税金の計算上の利益は「5億円 – 10万円 = 4億9990万円」という莫大な金額になってしまうのです。
さらに追い打ちをかけるのが、土地や株式の相続では認められている「取得費加算の特例」が、仮想通貨には適用されないことです。 この特例は、支払った相続税の一部を取得費にプラスして所得税を軽くできる制度ですが、仮想通貨の売却益は「雑所得」に分類されるため、対象外となっています。 これが、仮想通貨の相続が税制上、著しく不利になっている最大の理由です。
出典: 相続会議 暗号資産の相続税はいくら?「税率110%」になる恐れも!?| 段階 | 計算内容 | 結果(税額など) |
|---|---|---|
| 1. 取得(故人) | 数年前に100 BTCを500万円で購入。 | 取得価額: 500万円 |
| 2. 相続 | 相続発生。100 BTCの時価が5億円に高騰。 | 相続税: 約1億9,000万円 |
| 3. 所得計算 | 納税のために5億円で売却。利益は 5億円 – 500万円 = 4億9,500万円。 | 課税所得: 4億9,500万円 |
| 4. 所得税・住民税 | 課税所得4億9,500万円に最高税率55%(所得税45%+住民税10%)が適用される。 | 所得税等: 約2億6,700万円 |
| 5. 合計納税 | 相続税 + 所得税・住民税 | 合計納税額: 約4億5,700万円 |
| 6. 結論 | 5億円の資産を相続・売却した結果、手元に残るのは約4,300万円。もし相続時の価格下落や他の財産状況によっては、納税額が資産価値を上回り、実質的な赤字(破産)となる可能性があります。 | |
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公式サイトで詳しく見るこのような悲劇を避けるために、仮想通貨保有者が今日から始められる対策があります。最大の脅威は税制そのものではなく、「無知」と「無準備」です。仮想通貨の相続では、税金対策が不可欠です。
村上 裕一(公認会計士・税理士)
公認会計士試験合格後、大手監査法人、メーカー経理財務、会計事務所を経て独立開業。仮想通貨・NFT・ブロックチェーンゲームを専門とする税理士として活躍。自らもSTEPNなどのブロックチェーンゲームなどをプレイし、多くの投資家の税務を支援している。
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