2026年分の税金・確定申告

仮想通貨の税金は「売却した金額」ではなく、年間の所得から計算する

保有しているだけの含み益と、売却・交換・決済・報酬で実現した所得を分け、取引履歴を円換算して計算します。

01 / EVENT課税取引を分類売却、交換、決済、報酬を分ける。
02 / PROFIT年間所得を計算売却額から取得価額と費用を差し引く。
03 / RATE他の所得と確認2026年分は原則として総合課税で計算。
04 / RECORD根拠を保存CSV、TxID、時価、領収書を残す。

個人の暗号資産取引による所得は、原則として雑所得に区分されます。ただし、暗号資産取引そのものが事業と認められる場合などは扱いが異なります。給与額へ暗号資産の売却額をそのまま足したり、取引所から銀行へ出金した金額だけで税額を求めたりすることはできません。

「最大55%」は、すべての利益へ一律に55%かかるという意味ではありません。
所得税は課税所得の区分ごとに税率が上がる超過累進税率です。さらに復興特別所得税と住民税を別に確認します。
2026年10月時点の制度整理

20%の申告分離課税は、2026年分の取引へ一律に適用されない

令和8年度税制改正では、登録簿に登録される一定の「特定暗号資産」を暗号資産取引業者に対して譲渡する場合などを対象に、所得税15%・住民税5%の分離課税と3年間の損失繰越を設ける改正が成立しています。ただし適用開始は、改正金融商品取引法の主要部分が施行される年の翌年1月1日以後です。対象銘柄・対象取引・開始日には条件があるため、2026年分の計算では現行の国税庁FAQに沿い、今後の施行日と対象範囲を公式情報で確認してください。

仮想通貨で税金を確認するタイミング

取引所得計算で確認すること主な記録
日本円へ売却売却価額から、売却した暗号資産の譲渡原価と直接要した費用を差し引きます。約定日時、数量、売却額、手数料
別の暗号資産へ交換受け取った暗号資産の時価を基に、渡した暗号資産の損益を確認します。交換前後の数量・時価、TxID
商品・NFTの購入支払いに使った暗号資産の時価と取得価額との差を確認します。購入内容、支払数量・時価、手数料
ステーキング等の報酬取得時点の時価を収入として確認し、その価額を取得価額として引き継ぎます。取得日時、数量、時価、報酬明細
自己ウォレット間の移動所有者が同じ単純移動と、交換・ブリッジ・手数料の支払いを分けます。送付元・送付先、TxID、ガス代
保有中の値上がり個人が保有しているだけの含み益は、原則として直ちに所得計算へ入れません。年末残高、取得履歴

取引所やウォレットの画面に「Swap」「Bridge」「Stake」と表示されていても、その名前だけで税務処理は決まりません。何を渡し、何を受け取り、いつ利用できる状態になったかを実際の入出庫と利用規約から確認します。

仮想通貨の利益・所得の計算方法

売却・交換等の価額 − 譲渡原価 − 直接要した費用 = 所得金額

譲渡原価は、売却した数量に対応する取得価額です。同じ銘柄を複数回購入・取得している場合、任意の安い価格や高い価格を選ぶのではなく、届け出た評価方法に沿って1単位当たりの取得価額を求めます。個人の法定評価方法は総平均法で、移動平均法を選ぶ場合は所定の届出が必要です。

売却の単純例
取得価額2,000,000円のBTCを3,000,000円で売却し、売却手数料が10,000円だった場合、所得金額の例は990,000円です。
3,000,000円 − 2,000,000円 − 10,000円 = 990,000円
暗号資産同士の交換例
取得価額200,000円のETHを、交換時の時価300,000円相当のUSDCと交換した場合、費用を除くETHの利益は100,000円です。同時に、受け取ったUSDCは300,000円を取得価額として記録します。

この所得金額は税額ではありません。1年間の暗号資産取引をすべて集計した後、給与など他の所得、所得控除、所得税率、復興特別所得税、住民税を含めて税額を確認します。

2026年分の所得税率は何%?

2026年分の暗号資産所得が原則的な雑所得として総合課税の対象になる場合、給与所得などと合算した後の「課税される所得金額」に超過累進税率を適用します。次の表は暗号資産利益だけに掛ける税率表ではありません。

課税される所得金額所得税率控除額住民税等の確認
1,949,000円まで5%0円別途、復興特別所得税と住民税を確認します。住民税の標準税率は所得割10%ですが、均等割等もあります。
1,950,000円~3,299,000円10%97,500円
3,300,000円~6,949,000円20%427,500円
6,950,000円~8,999,000円23%636,000円
9,000,000円~17,999,000円33%1,536,000円
18,000,000円~39,999,000円40%2,796,000円
40,000,000円以上45%4,796,000円
税率を掛ける前の「課税所得」を確認してください。
売却額、暗号資産の利益、合計所得、課税所得、税額はそれぞれ別の金額です。所得控除は暗号資産の取引利益を直接減らすものではなく、合計所得から所得控除を差し引いて課税所得を計算する過程で反映します。

利益が出たら納税資金を円で分けておく

暗号資産の価格は、利益を確定した後も大きく変動することがあります。利益相当を別の暗号資産へ再投資し、その価格が下落しても、先に確定した所得に対応する納税がなくなるとは限りません。年間損益と税額の概算を定期的に更新し、所得税・住民税の支払時期を見込んで、必要な円資金を生活資金や投資資金と分けて管理します。

所得税の確定申告・納付と、住民税の通知・納付は時期が異なります。会社員が住民税の納付方法を選ぶ場合でも、勤務先や自治体の処理によって希望どおりにならないことがあります。資金繰りに不安があるときは、期限を過ぎる前に所轄税務署や自治体へ相談してください。

確定申告はいくらから必要?20万円以下の注意点

よくある状況確認するポイント
給与所得者で暗号資産所得が20万円以下一定の要件を満たす場合、所得税の確定申告が不要となることがあります。ただし住民税の申告が必要になる場合があります。
医療費控除などで確定申告する別の理由で確定申告をする場合、20万円以下の暗号資産所得も申告書へ含めます。
給与を2か所以上から受け取る給与の支払状況や年末調整の有無などにより条件が変わります。
専業・個人事業主・年金受給者「会社員なら20万円」という説明をそのまま当てはめず、所得全体と申告要件を確認します。
暗号資産が年間マイナス雑所得の損失は給与など他の所得と通算できず、現行制度では翌年へ繰り越せません。申告要否は他の所得や申告理由も含めて確認します。

20万円は「非課税枠」ではなく、一定の給与所得者に関する所得税の確定申告要否の基準です。売却額ではなく、必要経費を差し引いた所得金額で確認します。住民税の扱いは居住する自治体にも確認してください。

安全に検討できる6つの税負担対策

年間損益を早めに集計全取引所・ウォレットを統合し、未分類や不足履歴を年末前に解消します。
必要経費を根拠とともに整理取引との直接的な関係、金額、家事按分の根拠、領収書を保存します。
同一年の損益を確認保有中の含み損は損失ではありません。売却判断は価格変動や再取得リスクも含めて行います。
利益確定時期を計画年をまたぐと所得年が変わりますが、税だけでなく相場・流動性・手数料も考慮します。
所得控除を正しく利用iDeCoや寄附金控除などは適用条件と上限を確認し、暗号資産利益と混同しません。
多額・複雑な取引は事前相談法人化、海外移住、贈与、相続、DeFiは取引実行前に税理士へ相談します。

必要経費は「暗号資産に使った」だけでは決まらない

売買手数料や損益計算サービスの利用料などは、所得を得るために直接必要だった範囲で確認します。PC、スマートフォン、通信費、家賃など私用と共用する支出は、暗号資産取引に使った部分を合理的な基準で区分できるかが重要です。10万円以上の機器などは、購入年に全額を必要経費へ入れず、減価償却が必要になることがあります。

「損出し」は取引を記録し、投資判断として行う

同一年内に暗号資産取引全体の利益と損失を集計することは重要です。ただし、含み損は売却等をしない限り損失として確定しません。売却・再購入には価格変動、スプレッド、手数料があり、形式だけを整えた取引は実態から判断されます。節税額だけを理由に取引せず、約定履歴と資金移動を保存してください。

法人化に「利益800万円なら得」という一律の線はない

法人化の有利・不利は、給与など他の所得、利益の継続性、役員報酬、社会保険、法人住民税、会計・申告費用、資金を個人へ移す方法、法人が保有する暗号資産の期末評価などで変わります。利益額だけで判断せず、個人のままの場合と法人を設立した場合の数年分の手取り・資金繰りを比較します。

確定申告までの6ステップ

利用先をすべて洗い出す国内外の取引所、ウォレット、NFT、DeFi、ステーキングサービスを一覧にします。
取引履歴を取得するCSV、年間取引報告書、ウォレット履歴、TxID、報酬明細を保存します。
入出庫を対応づける自己ウォレット間移動を重複計上せず、送付元と送付先をつなぎます。
取引を分類する売却、交換、購入、報酬、移動、手数料、不明取引を分けます。
円換算と取得価額を計算する評価方法と価格情報源を統一し、年末数量までつながるか照合します。
申告書へ反映して保存する所得区分、必要経費、他の所得と控除を確認し、計算根拠を保管します。

残すべき資料とよくある計算ミス

資料・確認項目防げる主なミス
取引所CSV・年間取引報告書一部の取引所だけを計算する、手数料を重複して差し引く。
ウォレットアドレス・TxID自己移動を売却にする、DEXの複数入出庫を見落とす。
価格情報源・日時・タイムゾーン海外サービスのUTCと日本時間を混同する、都合のよい時価を選ぶ。
領収書・按分根拠私的支出を全額経費にする、取得価額と必要経費へ二重計上する。
期首・期末残高履歴欠損や数量不一致に気づかない、受取報酬を漏らす。
計算方針・修正履歴年ごとに評価方法や分類が変わり、説明できなくなる。

仮想通貨の年間損益をまとめて整理

取引所・ウォレットの履歴を集め、確定申告に必要な損益計算を進められます。

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仮想通貨の税金に関するFAQ

仮想通貨は利益がいくらから課税されますか?

一律の非課税枠はありません。所得税の確定申告が必要かどうかは、年間の所得金額、給与の支払状況、他の申告理由などで変わります。いわゆる20万円基準は一定の給与所得者に関する申告要否の基準です。

仮想通貨を保有しているだけで税金がかかりますか?

個人が保有しているだけの含み益は、原則として直ちに所得計算へ入れません。ただし、ステーキング報酬の取得や別通貨との交換などが同時に発生していないか確認します。

仮想通貨を売却して銀行へ出金しなければ課税されませんか?

銀行への出金は基準ではありません。売却や暗号資産同士の交換、暗号資産による購入などの時点で所得計算が必要になることがあります。

仮想通貨の税率は20%になりましたか?

令和8年度税制改正で一定の特定暗号資産を対象とする20%の分離課税が成立しましたが、適用開始は改正金融商品取引法の主要部分の施行時期と連動し、対象にも条件があります。2026年分へ一律適用される制度ではありません。

年間損益がマイナスなら給与と相殺できますか?

原則的な雑所得として生じた暗号資産取引の損失は、給与所得など他の所得と損益通算できず、現行制度では翌年へ繰り越せません。

ふるさと納税は仮想通貨の節税になりますか?

暗号資産の利益を直接減らす必要経費ではありません。寄附金控除の仕組みで所得税・住民税へ反映され、上限は所得等で変わります。暗号資産所得を含めた年収・所得で上限を再計算してください。

家族名義の口座へ利益を分ければ税金を減らせますか?

名義だけでは所得の帰属は変わりません。資金の所有者、取引判断をした人、利益を管理する人など実態から判断され、資金移動に贈与税の論点が生じることもあります。

計算ツールへ接続すれば申告額は確定しますか?

自動計算は確認の出発点です。未対応取引、自己ウォレット移動、DeFi、報酬、取得価額不明、重複データを確認し、期末残高と一致するか照合してください。

公式情報・参考資料

公認会計士・税理士 村上裕一
この記事の監修者

村上 裕一(公認会計士・税理士)

監修者プロフィール

公認会計士試験合格後、大手監査法人、メーカー経理財務、会計事務所を経て独立開業。仮想通貨・NFT・ブロックチェーンゲームを専門とする税理士として活躍。自らもSTEPNなどのブロックチェーンゲームなどをプレイし、多くの投資家の税務を支援している。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。制度の施行時期、対象となる暗号資産・取引、所得区分、必要経費などにより扱いは異なります。個別の申告は税務署または税理士へご確認ください。