ビットコイン(BTC)をイーサリアム(ETH)に交換すると、日本円を受け取っていなくても、手放したBTCの損益を計算します。交換時に受け取ったETHの円換算額と、手放したBTCの取得価額との差を確認するためです。値上がりしていても、保有するだけならこの交換による損益はまだ生じません。
交換では、手放す側の暗号資産に注目する
国税庁の暗号資産等の税務FAQ(1-3)では、暗号資産Aを暗号資産Bと交換したとき、AでBを購入したものとして、Aの譲渡に係る所得金額を計算すると説明しています。ETHを受け取った側の価額は、その後ETHを売却・交換するときの取得価額を整理するうえでも重要です。
| 行動 | その時点で確認すること | 記録 |
|---|---|---|
| 日本円でBTCを購入 | 購入だけでは売却益は生じない | 数量、購入額、購入手数料 |
| BTCを保有 | 個人は原則、値上がりだけで売却益を計上しない | 保有数量と取得履歴 |
| BTCをETHに交換 | 手放したBTCの損益を計算 | 交換日時、BTC・ETHの数量、交換時の円換算額、手数料 |
| 後日ETHを売却 | ETHについて別の損益を計算 | ETHの取得価額、売却額、手数料 |
BTCからETHに交換したときの計算例
取得価額が100万円のBTCを、交換時の価額が150万円のETHと交換したとします。手数料を省略すると、手放したBTCの所得計算上の差額は150万円 − 100万円=50万円です。交換時に受け取ったETHの取得価額を整理し、後日の売却・交換時に再び計算します。
100万円
150万円
50万円
この例は1回の購入を前提としています。同じ通貨を複数回取得している場合は、選択・届出した総平均法または移動平均法に沿って譲渡原価を求めます。取得時や交換時の手数料も区別して記録してください。国税庁の計算書を使うと、年間の取引を整理できます。
「交換」と「移動」は分けて記録する
同じ人が管理する取引所口座・ウォレット間へBTCを移しただけなら、上のようなBTCとETHの交換とは異なります。一方、取引所やDEXで別のトークンへスワップした場合、手放した資産について損益の検討が必要です。サービスの画面に「送金」と表示されても、実際に別の資産を受け取っていないか確認しましょう。
ラップドトークンや流動性提供などは仕組みが異なるため、すべてを通常の交換と同じ処理にしないでください。契約内容、取引前後の資産、受け取る権利を確認し、判断が難しい場合は税理士に相談します。
申告前にそろえる4つの記録
- 元の資産:手放した通貨の購入・受取履歴と評価方法。
- 交換の事実:日時、両通貨の数量、取引所の明細またはトランザクションID。
- 円換算額:交換時に受け取った通貨の価額と、使用した価格資料。
- 費用:売買・ネットワーク手数料の数量、通貨、円換算額。
複数の取引所とウォレットを使っている場合、同一資産の移動を売買として二重計上しないよう、入出金を突き合わせます。手数料やPC代などの扱いは暗号資産の必要経費ガイドも参照してください。
交換したら必ず確定申告が必要?
交換そのものだけで申告義務は決まりません。年間の暗号資産取引を通算して所得を計算し、給与など他の所得も含めて判定します。会社員の「給与以外の所得が20万円以下なら所得税の確定申告が原則不要」という扱いには、給与の受け取り方や年末調整などの条件があります。医療費控除等のために申告する場合は、20万円以下の所得も申告に含めます。住民税の申告は別に確認してください。国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」を参照できます。
よくある質問
BTCをETHに交換した後、ETHの価格が下がったら最初の交換益は消えますか?
後日の値下がりだけでは、すでに行ったBTCの交換時の計算は変わりません。ETHを売却・交換したときは、その時点でETHの損益を別に計算します。年間の取引全体を時系列で整理しましょう。
日本円の入出金がなければ記録は不要ですか?
不要ではありません。暗号資産同士の交換でも、交換時の円換算額、譲渡原価、手数料を確認できる記録が必要です。


