2026年9月14日 更新
仮想通貨(暗号資産)の利益は、売却して日本円にしたときだけでなく、別の暗号資産との交換や商品・サービスの購入でも発生します。2026年分の個人取引は原則として雑所得・総合課税で計算します。一方、2027年分以後は一定の暗号資産取引を20%の分離課税とする制度が予定されており、「いつの取引か」「対象取引か」を分けて理解することが重要です。
暗号資産の確定申告は「集める・分ける・計算する・申告する」
最初に申告書を開くのではなく、取引データを一つの台帳へ整理してから進めます。
- 全履歴を集める国内外の取引所、ウォレット、DEX、NFT、報酬を洗い出す漏れを防ぐ
- 取引を仕分ける売却・交換・決済・報酬と、自己送金・保有を区別する二重計上を防ぐ
- 年間損益を計算取得価額、収入金額、手数料・必要経費を円換算で整理する根拠を残す
- 申告要否を確認給与や他の所得も含めて判定し、必要ならe-Taxへ入力する資料を保存
この記事の結論
- 2026年分は、暗号資産の利益を原則として雑所得に区分し、給与などと合算して税額を計算します。
- 円への売却、暗号資産同士の交換、決済、報酬の受取りなどが課税計算の対象になり得ます。
- 「20万円以下なら何もしなくてよい」とは限りません。住民税や、別の理由で確定申告する場合に注意が必要です。
- 2027年分以後の20%分離課税は対象が限定されるため、ウォレットやDeFiを含む全取引が自動的に対象になるわけではありません。
2026年分・確定申告ナビ
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2026年中の暗号資産取引を整理し、原則として2027年に申告する方向けの案内です。最初からすべて読む必要はありません。該当する項目から進んでください。
迷ったら、この4ステップで進める
国内・海外取引所から履歴を集める
利用した取引所だけを開き、年間取引報告書・CSV・APIの取得方法を確認してください。
ウォレット・DEX・DeFi・NFTの取引を整理する
取引所のCSVだけでは不足します。自分が使ったサービスと取引タイプを選んでください。
計算・判断に迷ったとき
複数の取引所やウォレットを使った場合は、各記事の手順で履歴を集めた後、ひとつの年間損益としてまとめます。金額が大きい、履歴が欠けている、取引の性質が複雑な場合は、税務署または暗号資産税務に詳しい税理士へ相談してください。

2026年分の暗号資産の税金はどうなる?
個人が暗号資産を売却または使用して得た利益は、事業に付随して生じる場合などを除き、原則として雑所得です。雑所得は給与所得などと合算する総合課税の対象で、所得が大きいほど所得税率が上がります。
所得税の最高税率45%と個人住民税10%を合わせると最大55%になる可能性があります。ただし、利益全体へ一律55%がかかるわけではありません。必要経費や所得控除を差し引いた課税所得に対し、段階ごとの税率が適用されます。復興特別所得税も別途考慮が必要です。
必要経費には、売却時の手数料や譲渡原価のほか、暗号資産取引のために直接必要だったと明確に区分できる費用が含まれる場合があります。パソコン代や通信費などは全額ではなく、取引に必要な部分だけを合理的に区分します。
税金が発生する主なタイミング
含み益が増えただけでは、通常は所得は確定しません。保有している暗号資産を手放したり、報酬として新たな資産を受け取ったりした時点を取引ごとに確認します。
課税タイミング早見図
判断の分かれ目は「暗号資産を手放したか」「新たな価値を受け取ったか」です。
| 取引 | 課税計算 | 確認する金額 |
|---|---|---|
| 暗号資産を日本円で売却 | 原則必要 | 売却価額と譲渡原価等との差額 |
| BTCをETHなど別の暗号資産へ交換 | 原則必要 | 交換時点の時価と手放した資産の譲渡原価等との差額 |
| 暗号資産で商品・NFT・サービスを購入 | 原則必要 | 購入時点の決済額と使用した資産の譲渡原価等との差額 |
| ステーキング・レンディング・マイニング報酬 | 所得になる場合がある | 取得時点の時価、関連経費、後日の売却損益 |
| ウォレット間の自己送金 | 通常は送金だけで利益確定しない | 手数料の扱いと、同一人物の口座であることを示す記録 |
| 保有中の値上がり | 通常は対象外 | 売却・交換などをしていなければ含み益 |
取得価額は総平均法と移動平均法のどちらで計算する?
暗号資産の一単位当たりの取得価額は、暗号資産の種類ごとに「総平均法」または「移動平均法」で計算します。新たな種類の暗号資産を取得した場合は、その年分の確定申告期限までに評価方法を届け出ます。届出をしなかった場合は総平均法になります。
取得価額の計算タイミングが違う
違いは「いつ平均単価を確定するか」。同じ取引でも売却の時期によって計算結果が変わることがあります。
総平均法
その年に取得した同じ暗号資産の取得総額と数量をまとめ、年末に平均単価を求めます。
取得6月
取得12月
集計
移動平均法
暗号資産を取得するたびに、直前の残高と新しい取得分を合算して平均単価を更新します。
取得6月
取得10月
取得
評価方法は暗号資産の種類ごとに確認します。届出状況と過去の計算方法を確認し、年度の途中で都合よく使い分けないことが重要です。
- 総平均法
1年間の取得総額を取得数量で平均し、年単位で取得単価を求めます。 - 移動平均法
暗号資産を取得するたびに、直前残高と新規取得分から平均単価を更新します。
どちらが常に有利とはいえません。取引件数、価格変動、過去の届出状況を確認し、同じ方法を継続して計算することが大切です。
確定申告の20万円ルールで注意すること
給与を1か所から受け、給与収入が2,000万円以下で年末調整済みなどの要件を満たす人は、給与・退職所得以外の所得の合計が20万円以下なら、所得税の確定申告が原則不要となる場合があります。20万円は売却代金ではなく、必要経費を差し引いた「所得」の合計で判定します。
20万円ルールの見方
医療費控除などで確定申告をする場合は20万円以下の所得も含めます。住民税の申告要否は別途確認してください。

暗号資産の損失は給与や株の利益と相殺できる?
2026年分の一般的な個人取引では、暗号資産の雑所得で生じた損失を給与所得や上場株式の利益と相殺することはできません。翌年以後への繰越控除も原則できません。同じ年の暗号資産取引など、同じ区分の雑所得内で利益と損失を集計できる場合はありますが、取引の性質によって所得区分が異なることがあります。
年末に損失を確定すれば必ず節税になるわけではありません。売却後に買い戻す場合も別の取引として記録し、手数料や価格変動を含めて判断してください。
DeFi・NFT・海外取引所は取引履歴を分けて確認
DeFiやNFTでは、スワップ、流動性提供、LPトークンの取得・返還、報酬受領、ブリッジなど複数の処理が連続します。名称だけで課税関係を一律に決めず、「何を渡し、何を受け取り、その時点の円換算額はいくらか」を整理します。
NFTの所得区分も、制作・販売・転売の内容や営利性、継続性などで変わり得ます。海外取引所やセルフカストディ型ウォレットの取引も、日本の居住者であれば申告対象になり得るため、国内取引所の年間取引報告書だけで完結するとは限りません。
複数の履歴を、そのまま足し算しない
同じ送金が取引所側とウォレット側の両方に記録されるため、統合前の確認が必要です。
- 国内取引所:年間取引報告書・CSV
- 海外取引所:CSV・API
- ウォレット:アドレス・TxHash
- DeFi・NFT:スワップ・報酬・売買
- 日時・通貨・数量を統一
- 取引時点の円換算額を補う
- 自己送金を対応付ける
- 重複履歴を除外する
- 収入金額
- 取得価額・譲渡原価
- 手数料・必要経費
- 計算根拠と元データ
2027年からの20%分離課税は何が変わる?
令和8年度税制改正では、金融商品取引法等の改正を前提に、一定の暗号資産取引を他の所得と分離し、所得税15%・個人住民税5%の計20%で課税する枠組みが示されました。一定の損失について3年間の繰越控除を認める措置も含まれています。
現行制度と改正後制度の違い
- 原則として雑所得
- 給与などと合算する総合課税
- 損失の翌年以後への繰越は原則不可
- 登録された特定暗号資産などが対象
- 所得税15%+個人住民税5%
- 一定の損失は要件を満たせば3年間繰越
適用開始は関連法の施行時期に連動します。対象資産・取引・開始時期は最新の法令と公的案内を確認してください。
確定申告までの5ステップ
まずはこの順番で整理
- 履歴を
集める - 円換算額を
そろえる - 自己送金を
区別する - 年間所得を
計算する - 申告して
資料を保存
- すべての履歴を集める
国内外の取引所、ウォレット、DEX、NFT、ステーキングなどを年初から年末まで洗い出します。 - 日時と円換算額をそろえる
取引日時、数量、通貨、手数料、取引時点の時価、トランザクションIDを保存します。 - 自己送金と売買を区別する
同一人物のウォレット間移動を特定し、取引所とオンチェーン履歴の二重計上を防ぎます。 - 取得価額と年間所得を計算する
届出済みの総平均法または移動平均法を使い、必要経費を整理します。 - 申告要否を確認して提出する
給与や他の副収入も含めて判定し、必要に応じてe-Tax等で申告します。計算根拠と元データも保存します。
申告前チェックリスト
- 国内取引所だけでなく、海外取引所と全ウォレットの履歴を含めた
- 暗号資産同士の交換と暗号資産決済を含めた
- 自己送金を売却や入金として二重計上していない
- 取得価額の計算方法が過去の届出と一致している
- ステーキング、DeFi、NFT、エアドロップ等を個別に確認した
- 20万円の判定を収入ではなく所得で行い、住民税も確認した
- 2026年分と2027年分以後の制度を混同していない
まとめ
2026年分の暗号資産税務では、売却・交換・決済・報酬などを漏れなく集め、総平均法または移動平均法で取得価額を計算することが基本です。20万円ルールや損失の扱いには条件があり、2027年分以後の分離課税も対象取引が限定されます。
取引所やウォレットが増えるほど、後から履歴を復元する負担は大きくなります。取引のたびにデータを保存し、年末を待たずに損益を確認できる状態にしておきましょう。
参照した公的情報
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務判断を行うものではありません。制度・手続は変更されることがあります。申告時は国税庁等の最新情報を確認し、必要に応じて税理士や税務署へご相談ください。
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