仮想通貨の税金を申告しなかったらどうなる?──暗号資産脱税・申告漏れ事例を紹介

作者: ZEIbit.AI 2025.06.13
1 日前
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「知らなかった」では済まされない──仮想通貨の申告漏れや脱税で追徴数千万円、時には刑事罰も。この記事では、日本国内で実際に起きた暗号資産の税務トラブルの実例を紹介。故意・過失を問わず、資産を大きく減らす“税の落とし穴”とは?初心者投資家こそ必見のリアルなケース集。

日本における暗号資産脱税・申告漏れ事例

事例1:年収300万円の女性投資家(「無知による申告漏れ」)

概要

2017年末の仮想通貨バブルで、年収約300万円の女性がビットコインを購入し、その後値上がりしたビットコインをイーサリアムに乗り換えました。当時、仮想通貨同士の交換は課税対象になることが広く知られておらず、彼女も確定申告を行っていませんでした。

発覚経緯

税務署の調査で、ビットコインからイーサリアムへの「乗り換え益」が申告されていないことが判明しました。被告人自身は「税金がかかるとは知らなかった」と弁明しました。

漏れ額・追徴額

2018年分の申告漏れ所得は約5,300万円、追徴課税額(無申告加算税や住民税等を含む)は約3,000万円に上りました。なお、追徴額には無申告加算税等が含まれています。

故意/過失

彼女の場合はあくまで「税務知識の欠如による過失」とされています。故意の脱税ではなく、仮想通貨特有の課税ルールを知らずに申告漏れをしていたケースです。

課された罰則

刑事告発は行われていませんが、追徴課税分は未納のままです。イーサリアムの暴落で資産が大きく目減りしたため、実際には納税資金を用意できず滞納状態になりました。国税庁は「修正申告と追徴金支払」が前提ですが、今も納税が困難な状況と報じられています。

出典・報道

東洋経済オンライン(田中周紀記者)で紹介された事例で、税理士による解説記事などで詳細が報告されています。

【暗号資産投資のリスク】納税資金がないのに追徴課税3,000万円の理由

事例2:石川県の会社役員(仮想通貨脱税事件・故意)

概要

石川県小松市在住の会社役員(当時56歳)は、2017~2018年にビットコイン取引で約1億9,000万円の利益を得ながら、確定申告では「利益120万円」と大幅に過少申告しました。

発覚経緯

金沢国税局が取引所の顧客データを分析し、同氏が得た利益と申告内容の不一致を把握。2020年3月に石川県警から告発され、所得税法違反容疑で起訴されました。

漏れ額・追徴額

利益約1億9,000万円のうち申告漏れとされた額は約7,400万円(あるいは7,700万円とも報道)で、所得税約1億円超の脱税と認定されました。

故意/過失

裁判で被告は起訴内容を全面的に認め、仮想通貨の所得計算が理解できていなかったと述べましたが、検察は「動機が身勝手で悪質」と批判し、故意(隠匿・偽装)と判断しています。

課された罰則

2021年3月、金沢地裁は被告に対し「懲役1年、執行猶予3年、罰金1,800万円」の有罪判決を言い渡しました。刑事罰に加え、過少申告加算税・延滞税も課されています(判決時には既に修正申告により過少申告加算税を納付済みである点が情状酌量されました)。

出典・報道

毎日新聞、NHK、日本経済新聞など大手メディアが報じた初の仮想通貨脱税裁判例で、専門ニュースサイト『CoinPost』でも詳細が報道されています。

金沢地裁、ビットコインで2億円稼いだ男性に脱税容疑で有罪判決

事例3:福岡県の医師と長崎県の自営業男性(無申告)

概要

福岡県内在住の40代男性医師は、数年にわたり複数の仮想通貨取引で約1億円の利益を得ながら一切申告していませんでした。同様に長崎県在住の70代自営業男性も、3年間で1億2,000万円の仮想通貨利益の申告を怠っていました。

発覚経緯

福岡国税局が2021~2022年度の税務調査でこれらの個人を抽出。取引所データや銀行振込の情報照会により無申告を把握し、追徴課税の対象としました。

漏れ額・追徴額

医師は申告漏れ所得約1億円に対し約6,000万円を追徴課税(無申告加算税等を含む)され、男性も1.2億円の漏れに対し約6,000万円の追徴課税を受けました。

故意/過失

いずれも「仮想通貨取引による所得を故意に申告しなかった」と税務当局に判断されています。特に医師は「利益を申告していなかった」と公表されるなど、納税義務を軽視した「脱税」と見なされています。

課された罰則

どちらも刑事告発は行われず重加算税は不明ですが、無申告加算税・延滞税が課されています。記載される「追徴課税額」が事実上の重い制裁となっています。

出典・報道

税理士法人や税務相談サイトの報告によりますと、福岡国税局・長崎国税局で相次いだ仮想通貨無申告指摘事例として紹介されています。

ビットコインなど仮想通貨取引の脱税取り締まり強化の噂は本当?無申告のリスクとは

事例4:東京都内の年収約900万円男性会社員(無申告による巨額追徴)

概要

東京都内在住の40代男性会社員は、2016年にビットコインを購入後、他の仮想通貨(リップル等)に次々と乗り換えました。2017年末にはリップルの価格が急騰し、含み益は総額約4億円に達していました。換金できた分以外は売却せず、あくまで暗号資産のまま保有しました。

発覚経緯

男性は、利益確定時に円貨化した分だけを確定申告し、仮想通貨同士の交換益は申告していませんでした。これを知らなかった彼に対し、2021年9月に税務署が申告漏れを指摘。本人も修正申告により申告しましたが、結果として大幅な不足納税が判明しました。

漏れ額・追徴額

報道によれば、所得税・住民税の過少申告加算税等を含めた追徴税額は2億円超に達しています。(税務署への通知を受けた時点での追徴額です。)

故意/過失

男性は課税対象となる仮想通貨同士の交換取引に課税されることを知らず、「誤った認識による過失」としています。しかし税務署は「非申告・過少申告の事実」に着目し、仮想通貨取引の正当な納税義務者とみなしています。

課された罰則

刑事罰はありませんが、既に修正申告による過少申告加算税も含めて2億円超の追徴課税が確定しています。男性は資産価値の下落で現金が不足し、自宅売却や納税猶予申請を検討するに至っています。

出典・報道

中島祥貴税理士事務所のWeb記事がYahoo!ニュース(読売新聞配信)からの取材記事を転載したもので、個人投資家が申告ルールを知らず巨額の追徴を受けた事例として紹介されています。

暗号資産で申告漏れ、追徴2億円超えも…年収900万円の会社員「家族に申し訳ない」

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