暗号資産で輸出代金を受け取り、必要書類を整理するイメージ
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結論からいうと、2026年10月1日以後、商品などの輸出代金を「暗号資産交換業者を介さずに」暗号資産で受け取る事業者は、輸出免税の証明書類が増えます。従来の輸出許可書などに加え、輸出先の税関が発行する輸入許可書など、相手国での輸入事実を示す書類の保存が必要です。

対象はすべての暗号資産取引ではありません。国税庁が追加要件を示したのは、事業者が輸出として行う資産の譲渡・貸付けのうち、現金や、支払者が取引相手だと明らかでない方法で代金を受け取る場合です。サービス提供や交換業者を介した決済は、取引の実態を分けて確認する必要があります。

2026年10月から何が変わったのか

国税庁は、輸出取引の消費税免税について、2026年10月1日以後の取引に追加の保存要件を示しています。

対象となるのは、輸出として行う資産の譲渡または貸付けで、代金を現金、または支払いが取引相手からのものだと明らかでない方法で受け取る場合です。国税庁は具体例として「暗号資産交換業者を介さずに暗号資産により代金を受領」するケースを挙げています。

この場合、従来の輸出許可書などに加えて、輸出先の税関が発行する輸入許可書など、輸入事実を証明する書類を保存します。電磁的記録も対象です。

根拠は、国税庁の「No.6551 輸出取引の免税」です。同ページは、輸出免税の証明書類を納税地などで7年間保存すると説明しています。

どの暗号資産決済が対象になるのか

判断の軸は、暗号資産という名称だけではなく、輸出取引の種類と代金の受け取り方です。

受け取り方法ごとの整理
取引・受け取り方法 国税庁資料から確認できること 実務上の対応
商品を輸出し、取引先から事業者のウォレットへ直接、暗号資産で受領 交換業者を介さない暗号資産受領は、追加書類が必要な例として明記されています。 輸出許可書などに加え、輸入許可書など輸入事実を示す書類を保存します。
銀行振込や荷為替手形で受領 支払者が明らかでない方法には該当しないと説明されています。 従来の輸出免税の証明書類を保存します。
暗号資産交換業者や決済代行を介して受領 国税庁ページは、交換業者を介さない受領を具体例として示しています。 資金経路と支払者の確認方法を整理し、適用判断は税務署または税理士へ確認します。
海外顧客へのサービス提供 今回の追加要件は、輸出として行う資産の譲渡・貸付けについて記載されています。 役務提供の輸出免税要件と証明書類を別に確認します。

「暗号資産で受け取ったら必ず輸入許可書が必要」「交換業者を経由すれば必ず不要」と一律には判断できません。契約、物流、決済サービス、ウォレットの名義、支払者を識別できる情報をまとめて確認することが重要です。

保存しておきたい書類とデータ

税務調査や申告時に取引の流れを再現できるよう、書類とオンチェーン記録を一つの案件番号で結び付けておくと整理しやすくなります。

  • 売買契約書、注文書、請求書、納品書
  • 輸出許可書など、従来の輸出免税の証明書類
  • 輸出先の輸入許可書など、輸入事実を示す書類
  • 取引先の名称・住所・連絡先と、支払いに使ったウォレット情報
  • トランザクションハッシュ、ブロックチェーン、受領日時、通貨名、数量
  • 受領時の円換算レート、採用した価格の出典、取得日時
  • ネットワーク手数料や交換手数料、換金・移転の履歴
  • 書類の保存場所、ファイル名、案件番号

領収書や取引証拠の考え方は、関連記事「仮想通貨の領収書がない?経費計上を認めてもらう証拠と記録管理」でも整理しています。

円換算と損益整理は輸出免税の書類と分けて考える

今回の変更は、消費税の輸出免税を受けるための証明書類に関するものです。暗号資産を受け取った後の所得計算や法人の会計処理、取得価額の扱いまで、このページだけで一律に決まるわけではありません。

ただし、後日の売却・交換時に損益を計算できるよう、受領時点の数量と円換算額を記録し、輸出売上の資料と結び付けておく必要があります。国税庁の「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」も、暗号資産の取得価額や譲渡原価、評価方法を取引類型ごとに説明しています。

記録例

以下は、書類と損益データを対応させるための架空例です。特定の暗号資産の実勢価格や、個別取引の税務判断を示すものではありません。

輸出代金を暗号資産で直接受け取った場合の記録例
請求金額 1,200,000円
受領日時 2026年10月10日 14時00分(日本時間)
受領数量 0.08単位
採用レート 1単位=15,000,000円(採用元と取得時刻を保存)
円換算額 0.08 × 15,000,000円 = 1,200,000円
ひも付ける証拠 請求書、輸出許可書、輸入許可書、トランザクションハッシュ、レート出典

レートの採用方法、売上計上日、暗号資産の取得価額、手数料の処理は、個人事業者か法人か、契約条件や会計方針によって変わります。継続して同じ方法で記録し、個別判断は税務署または税理士に確認してください。

実務では取引開始前に書類の入手方法を決める

相手国の輸入許可書は、決済後に日本側だけで用意できる書類ではありません。暗号資産による直接決済を契約する前に、海外の取引先や通関業者と、誰がどの書類を取得し、いつ共有するかを決めておく必要があります。

  1. 取引が資産の輸出か、役務提供かを区分する。
  2. 決済経路と支払者を識別できる情報を確認する。
  3. 輸出先で取得する輸入許可書などの担当者と共有期限を契約に入れる。
  4. 請求書番号とトランザクションハッシュを対応させる。
  5. 円換算レート、手数料、その後の売却・交換履歴を継続して保存する。

ネットワーク手数料の整理は「仮想通貨のガス代は経費?売買・送金・NFT・DeFi別に整理」、暗号資産全体の申告手順は「仮想通貨の確定申告ガイド」も参考になります。

まとめ

2026年10月1日以後、商品などの輸出代金を交換業者を介さず暗号資産で直接受け取る場合、輸出免税の適用には、従来の証明書類に加えて輸入許可書などの保存が必要です。

一方、今回の変更は暗号資産の所得計算そのものを定めたものではありません。輸出免税の証拠、オンチェーン記録、円換算と取得価額の記録を分けながら、一つの取引として追跡できる形に整えておくことが大切です。

本記事は一般的な情報提供を目的としています。輸出免税の適用可否や暗号資産の会計・税務処理は、契約、物流、決済経路、事業形態によって異なります。個別の取引は、所轄税務署または税理士へ確認してください。