最近、暗号資産の税金が株式みたいに安くなるかもしれないって話を聞いたんだけど、本当なのかな?なんだか難しくてよく分からないや…。
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はい、その話には根拠がありますよ。2025年7月18日に、日本のweb3業界を代表する一般社団法人日本ブロックチェーン協会(JBA)が、政府に対して「2026年度税制改正に関する要望書」を提出しました。 この中には、特に個人投資家にとって大きな影響がある、非常に重要な提案が含まれています。この記事で、その内容を分かりやすく紐解いていきましょう。
JBAが税制改正の要望に踏み切った背景には、日本の現状に対する強い危機感があります。現在、日本の暗号資産から得た利益は「総合課税」の対象となり、所得に応じて税率が上がり、住民税と合わせると最大で55%にも達します。
これは、他の先進国と比較しても突出して高い水準です。 例えば、アメリカでは1年以上の長期保有で最大20%、ドイツに至っては1年以上の保有で非課税となるなど、多くの国が投資を促進する税制を導入しています。 JBAは、この不利な税制が日本のweb3産業の成長を阻害し、国際競争力を失わせる大きな要因になっていると指摘しています。
幸い、日本政府もこの問題を認識しており、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版」の中で、暗号資産の分離課税導入を含めた税制の見直しを検討する方針を明記しています。 今回のJBAの要望は、この政府の動きを具体的に後押しするものと言えるでしょう。
JBAが実施した1,500人規模のアンケート調査では、税制が個人の投資判断にどれだけ大きな影響を与えているかが浮き彫りになりました。
暗号資産を「保有していない」と答えた人にその理由を尋ねたところ、「損をしそうだから(37.7%)」の他、「税金が高いから(8%)」という回答が大きな割合を占めました。
さらに注目すべきは、「もし税率が株式などと同じ20%になったら購入したいか?」という質問です。これに対し、非保有者のうち11.7%が「購入したい」と回答しました。 この結果は、税制が改正されれば、日本の暗号資産保有者率が現在の12.7%から約22.9%へと倍近くに増加する可能性を示唆しています。 まさに「税金」が、市場拡大の大きな鍵を握っているのです。
なるほど、やっぱり税金がネックになっているんだね。じゃあ、JBAは具体的にどんな要望を出したの?一番大事なところを教えて!
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もちろんです。要望は全部で5つありますが、個人投資家にとって最もインパクトが大きいのは、やはり1つ目の「分離課税・損失の繰越控除の導入」です。 ここが今回の改正要望の核心部分と言えます。詳しく見ていきましょう。
JBAの要望の最大の柱は、個人の暗号資産取引による利益の課税方法を、現在の「総合課税」から「申告分離課税」へ変更し、税率を株式やFX(外国為替証拠金取引)と同じ一律20.315%にすることです。
主な金融資産との税制比較
| 金融資産 |
現在の暗号資産 |
【要望】改正後の暗号資産 |
| 課税方法 |
総合課税 |
申告分離課税 |
| 税率 |
最大約55% (所得に応じて変動) |
一律約20% |
| 損失の繰越 |
不可 |
3年間可能 |
| 他の所得との合算 |
あり(給与所得などと合算) |
なし(分離して計算) |
この変更が実現すると、以下のような大きなメリットが生まれます。
- 税負担の大幅な軽減: 所得が多い人ほど、最大55%から約20%へと税率が大きく下がります。
- 損失の繰越控除: ある年に損失が出ても、その損失を翌年以降3年間にわたって利益と相殺できます。 これにより、年をまたいだリスク管理がしやすくなります。
- 公平性の確保: 株式やFXといった他の金融商品と税制が同じレベルになり、投資家が資産クラスを問わず公平な条件で投資判断できるようになります。
- 納税の簡素化: JBAは、確定申告が不要になる「源泉分離課税」も選択できるように要望しています。 アンケートでは実に75%以上の人がこれを望んでおり、投資へのハードルが格段に下がることが期待されます。
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申告分離課税のほかにも、投資家にとって見逃せない重要な要望が4つあります。これらも実現すれば、より安心して暗号資産を保有・活用できるようになります。
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要望② 相続税の負担を軽減:
現状では、相続した暗号資産の価格が後に下がっても高い相続税がかかるなどの問題があります。これを上場株式と同じルールにし、相続税評価額を柔軟に選べるようにしたり、取得費に相続税額の一部を加えたりできるように要望しています。
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要望③ 暗号資産同士の交換は非課税に:
現在、ビットコインでイーサリアムを買うような「暗号資産同士の交換」でも利益確定と見なされ課税対象となります。 これを改め、最終的に日本円などに換金した時点でのみ課税するよう求めています。 これで、DeFiなどでの運用が格段にしやすくなります。
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要望④ 寄付する際の税金を非課税に:
NPOなどに暗号資産で寄付をした場合、その暗号資産の含み益に対して税金がかからないようにする特例を要望しています。 これにより、社会貢献活動が促進される効果が期待できます。
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要望⑤ 法人向けの税制も継続的に見直し:
企業がweb3事業を進めやすくするため、法人が保有する暗号資産の期末時価評価課税のルールなどについて、より使いやすい制度になるよう継続的な見直しを求めています。
すごく期待しちゃう内容だね!もしこの要望が通ったら、いつから税金は変わるの?
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良い質問ですね。注意点として、これはあくまでJBAから政府への「要望」段階です。実際に法律として成立するには、まず政府・与党内で議論され、年末に発表される「税制改正大綱」に盛り込まれる必要があります。その後、国会で法案が可決されて初めて施行されます。そのため、もし実現するとしても早くても2026年度(2026年4月以降)から、ということになります。
なるほど。あと、分離課税の対象になる暗号資産に制限はあるの?ビットコインやイーサリアムだけとか?
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JBAは、特定の銘柄で有利・不利が生まれると市場が歪む可能性があるため、すべての暗号資産を一律に分離課税の対象とすべきだと要望しています。 これにより、技術的な価値にもとづく健全な市場競争が促されると考えているからです。
💡 今日のまとめ
JBAが政府に提出した2026年度税制改正要望の最大のポイントは、個人投資家の暗号資産利益に対する課税を「総合課税(最大55%)」から「申告分離課税(一律約20%)」へ変更することです。さらに、損失の3年間繰越控除や、相続・交換・寄付に関する税制の見直しも含まれており、実現すれば投資家は株式やFXと同じように、より安心して暗号資産へ投資できるようになります。これは日本のweb3産業の未来を左右する重要な一歩であり、今後の政府の動向から目が離せません。
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